ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

派遣」→「紛争後第1回選挙の支援・監視」という現在の業務範囲を、さらに「民主的基盤の安定化=国際金融機関および民間資本主導の経済復興の支援」まで拡大する必要があるといわざるを得ない。このため当面の間は、地域委員会と国際機関が協調して軍事部隊の編成・派遣から選挙後の支援までを、一貫して行える体制を維持すべきであろう。しかし、『平和への課題』でブトロス=ガリ事務総長が提案するような、予防的展開を目的とする「平和執行部隊」の創設は、国際機関が積極的に紛争当事者となることを前提にするものであり、集団的安全保障の枠組みを超えるものとして許されるべきではないと考える。また、軍事的衝突の手段となる兵器については、核兵器不拡散・撤廃への組織的努力はもちろん、通常兵器についても重火器に至るまで徹底的な登録制を実現し、さらに軍需産業の民需転換については、各国政府による推進基金に対して通常分担金やPKO特別分担金の特別控除を認めるなどの制度が、直ちに導入されるべきである。執行力の実質化や効率の向上には、司法機能の拡充が不可欠である。先の国連部会で国際刑事法裁判所の設立提案が採択されたことは、極めて重要な前進であると評価できる。非人道的な戦闘行為の展開や人権の抑圧、環境破壊や麻薬犯罪など、人類に対する犯罪者を、国家、私企業、個人の別なく直接的に当事者として司法的審査の場に立たせることによって、抑止的効果を実現することだろう。今後さらに国際司法裁判所の私法訴訟解決機能を拡充し、同じく個人までを当事者としうる体制を導入することで、刑事・民事両分野における国際社会の司法制度の体系的な整備が可能となる。期待される機能の実現のために、両裁判所は、複数の支部を設けるべきである。以上のような抜本的改編を実現するためには、現在の国連の「改革」というのではなく、全く新たな国際機関の設立という趣旨で取り組むことが必要であろう。つまり現存の国連憲章を改正したり組織・体制を改組したりというのではなく、「新・国際連合憲章」を締結し、242