ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第11回優秀賞国際機関は今後、人口問題や環境(消費)問題といった人類全体の危機に対処するとともに、紛争の停止・抑止や援助といった地域的課題にも、さらには国際通商環境(基盤)の整備にも、取り組まなければならないことになる。第2章抜本的改編のための具体的方策2-1.今後求められる国際機構の性質このように、さらに複雑化・大規模化する課題に対処すべき国際機関にとって、成果、すなわち効率は、今日以上に重要なテーマとなる。自由主義・民主主義の歴史が私たちに教えてくれるように、当事者間相互の自発的妥協・譲歩によるだけでは解決し得ない問題の効率的解決には、両者が合意した枠組みの下に構成された公的権力による強制的執行(力)が必要となる。つまり今日の国際社会は、新たな公的権力体制を必要とする段階に入っているといわざるを得ない。自由民主主義の下で執行力を有する公的権力体制は、立法・行政(執行)・司法の3つの作用の拡充によって、初めて効果的・効率的に実現される。しかし、あくまで主権国家によって構成される国際社会においては、二国間、あるいは地域内の課題解決システム(私人間における私的自治の維持システム)の構築が絶対に必要であり、統一的中央機能は補充的役割を果たすのみにとどまるべきである。したがって国連の抜本的改編に際しても、たとえばEUのように、全世界的・汎人類的な解決が求められる課題についてのみ恒常的に取り扱うものとし、二国間あるいは地域内の紛争については、まず当事者による解決に委ね、これが困難な場合にのみ補助的に関与するという原則(サブシディアリティー・ルール)を改めて確立すべきである。これは既に各分野で能力を発揮している国際的なNGOの利用にもつながることから、結果的に国連の効率向上にもつながることになる。2-2.今後の国際社会における国連など多国間組織の機能・体制案サブシディアリティー・ルールの確立のためには、まず地域内組織を整備する必要がある。そこで全世界を8から10程度の地域に分け、国連から独立した組織体としての地域239