ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第11回優秀賞つまり国際機関とは、二国間あるいは地域内の外交による解決では効果・効率的および規模的に不十分な多国間課題について、環境の変動に応じた適切な対応を実現するために設置・運営されるべきものに他ならない。ところが今日の国連においては、確かに多国間課題の解決が主な業務となってはいるものの、意思決定の過程および内容、またその実施過程において、決して環境の変動に応じた適切な対応を実現しているとは言い難い。より具体的に言えば、意思決定内容の適否については歴史的評価を持つべきものも多いことから一概に論じることはできないが、下された決定を実現する過程、さらには機関全体の日常的な運営において、極めて非効率的、むしろ非生産的と言わざるを得ない。抜本的改編が必要との認識も、ここに根源を有する。所期の目的を達成するために必要な抜本的改編は、将来求められる役割を果たすために必要な改革と、目的・方法を同じくする。今日我々が直面している多国間の課題はさらに深刻化(規模の拡大と内容の複雑化)し、さらには今日では予想し得ない課題をも解決しなければならない将来の国際機関は、より厳しい環境の中で効果的な問題解決を実現しなければならないからである。そこで、改編が実現された後の国際機関が解決を迫られる近未来の課題、たとえば今から25年後の2020年の地球について、概観しておく必要があるだろう。1-2.2020年の地球から考える、国際機関の機能一言で言えば、人類の抱える「トリレンマ」は、さらに深刻化する。予測される世界の総人口はおよそ80億、うち先進国以外に約70億。それも今後25年間に先進国ではほぼ横ばいなのに対し、先進国以外では50%以上の増加となる。食糧やエネルギーの消費=需要量も、当然増加する。それも既に栄養失調に近いレベルにすぎないサハラ以南のアフリカには、必要最低限度の摂取量として現在の数倍の食糧を供給しなければならない。エネルギー消費が農村部より格段に大きな都市部への流入が止まらない途上国の一部が、先進国並みの単位人口当たり消費量を必要とし始めれば、エネルギーと食糧の需要は、現在の3倍以上にもなる。235