ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「国連の抜本的改編の具体的方策」川北秀人戦後50年を来年に控え、日本では「常任理事国入り」の是非について大きく報じられた。しかし、本論文募集要項にあるとおり、安全保障理事会をはじめとする国連そのものの機能や意義が問われている今日、既存の枠組みの中でのポストの有無について語ることに終始するありさまは、外交や国際社会における自らの地位について真剣に語ることのなかった日本の歴史を端的に示しているといえる。「国連の抜本的改編」の必要性については、抽象的ながら合意が得られているといえよう。本論に与えられた課題であるその「具体的方策」の検討のためには、抜本的改編の背景、つまり国連のような国際機関(組織)の必要性と将来における役割について、さらに今日の国連の抱える問題点について明らかにした上で、国連と、その外部環境との関係についても語らねばならない。第1章国連の必要性と将来における役割1-1.国際機関の必要性根拠から見た国連外交は、その機能的役割の本質において二国間でなされることが原則である。解決されるべき課題の存在が前提となる二国間外交では、具体的対価・条件を相互に明確にできることから、利益と損失の比較衡量も行いやすいため、譲歩や妥協も実現しやすい。さらに目的や利害をともにし、あるいは隣接地域内や共通の民族・宗教的基盤のもとにある3以上の国は、交渉過程におよび効果の量的拡大を目的として、多国間交渉を行うことになる。そして軍事(安全保障)・経済政策のように、環境の変動に伴う臨機応変な対応が迫られる国際問題においては、常設の協議・意思決定機関が構成される。234