ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

けでもない。ただ、私が本稿で暗黙のうちに強調したかったことは、一つには、従来あまりにも二律排反的に捉えられてきた地球的問題群と安全保障問題を同じレベル(枠組)で捉える態度の重要性であり、もう一つは、現在世界レベルで懸案事項となっている地球的問題群は、国連大学が、「国際の平和及び安全(国際連合憲章・1条)」の実現に向けて、世界政治の舞台でリーダーシップを発揮する絶好のチャンスの一つであるということである。地球的問題群という、軍事力以上に人類の生存に対して「脅威」となる得べきものを最小限に食い止めることを、「陰のリーダー」として担っていくからである。まさに、「地球的問題群」という新しい意味での「安全保障」とその「統治」の中核を担当していくことになるのである。国連大学は、19・20世紀に軍事力を主たる「脅威」として構成された「勢力安定論」「覇権安定論」という枠組を越えた「グローバル・ガバナンス」による「共通安全保障」型の新世界秩序の構築に向けて、今こそリーダーシップを発揮していく時である。世界もまさに、そのような重要な役割を果たす国連大学に大いに期待していることは間違いない。何を大げさな、と言われる人もおられるであろうが、決して大げさではないことは、本稿が示した通りである。国連大学は、これまでの成長期とは異なり、もうすぐ「成人式」を迎える。自らが果たすべき役割と負うべき責任をしっかり考える時期に来ているのである。21世紀に人類が抱える諸問題に世界が対応していけるか否かは、国連大学が「成人式」を迎えるにあたって、自らの役割を冷静に見直し、その役割を果たす決意があるか否かにかかっていると言っても決して過言ではないのである。228