ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第11回最優秀賞決して満足のいくものではなく、特に人材面での不足は深刻になっている。だからこそ、前述の「人材育成・活用機関」としての役割を国連大学が果たすことが求められるのである。このようなモデルに基づく実証分析を国連大学は積極的に行なっていく必要があろう。この場合、各種データベースやインターネット等の知的インフラの整備もする必要があろう。さらに、なんとか知的所有権等の問題をクリアして、世界中の大学や研究所のデータベース34と国連大学が所有する各種データベースを、インターネット上で相互アクセス可能なようにし、世界レベルの知的交流を活性化させる必要もある。さらに、研究が政策指向であるためには、学者・研究者だけの活動では不十分であり、実際の政策担当者や意思決定者達に「So what? 35」と言われてしまう危険性もある。そうならない為にも、実際の政策担当者が研究プロジェクトに参加したり、逆に、学者・研究者が短期間で政策担当者として、実務を経験する、というようなシステムを構築する必要もある。4結論私は本稿の前半で、これからの世界運営を考えていく上で重要になっていくであろう二つの指導理念を提示した。一つは「共通安全保障」であり、もう一つは「グローバル・ガバナンス」である。そして、世界は、国連大学にこの二つの理念を実現するための触媒としての役割を果たしてくれることを期待しているという見解を明らかにした。このような立場に立ちつつ、(1)「情報収集・分析・発信センター」、(2)「人材育成・活用機関」、(3)「監査・モニタリング補助機関」、そして(4)「世界公共政策センター」という四つの役割を、国連大学は担うべきであるという提案もさせて頂いた。私は本稿で、地球環境破壊を始めとする地球的問題群というものが安全保障を規定する重要な要素であり、従来の安全保障観は修正されざるを得ないことを述べ、それを前提とした国内や世界の経営を考えていかねばならないことを説いた。しかし、これはあくまで私自身の仮説に過ぎず、その理論的根拠は発展途上であり、また厳密に実証されているわ34統計データベースや、電子図書館等。35「君達の言いたいことは分かるけど、それで一体何なの?だから、それでどうしたいの?」という程度の意味である。227