ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

シア)、特にソ連(ロシア)の地位は凋落し、逆に欧州・日本の地位は上昇すると予想される。第三に、世界経済における米国中心の戦後体制が終わりを告げ、日米欧による「三極」時代を迎えるであろう。これらの変化の結果、国際関係は2000年までには現在とは全く異なった様相を呈していると考えられる。国際社会における国家の序列(ヒエラルキー)は大幅にかわり、二つの超大国による核軍備競争の時代は終わりを告げ、経済的な三極構造が21世紀の大枠を形成しているだろう。現在のところ米国のみが軍事面での超大国であり、国際環境の変化の中においても、軍事的には、近い将来ただ一つの超大国となってしまう可能性が強い国である。しかし、軍事的緊張が大幅に緩和され、また国際競争が経済を中心としたものとなる以上、そのような国際上の地位は、以前ほどの価値を持ちえないだろう。その上、米国経済は、外部の経済勢力に依存する割合が高くなり、また、それに対する管理能力は低下するというジレンマ状態にあり相対的な力は低下している。この意味において、ポスト冷戦期における「アメリカ一極主義」の主張には賛成できない。(3)ポスト冷戦期の新アジア時代これについては、三点に留意しなければならない。第一は、冷戦時代におけるアジアとヨーロッパの生成の相違が冷戦後に及ぼした点である。ヨーロッパと異なって、アジアでは、50年代始めに朝鮮戦争で、また60年代から70年代にかけてベトナム戦争で多くの人々の血が流された。ヨーロッパでは、「ベルリン危機」など再三にわたって厳しい国際危機が生じたものの、米ソ・東西ヨーロッパの間では「冷戦」ではあったが、「熱戦」とはならなかった。一方、アジアにおける「冷戦の構造」は、国々が新しく「ネーション・ステート」(「国民・民族国家」)を形成する過程で、「超大国」の介入をまねき、時に、戦争の悲劇を伴った。また、アジアの「冷戦の構造」は、単に米ソのブロックの対峙・対決の構造をとらず、第二次世界大戦後の40年以上にわたって、アジアの国々独自の「民族自決」に基づいて「ネーション・ステート」を形成してき20