ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

Ⅳ.日本の果たすべき役割PKOは軍隊を派遣し、難民を救助するのが全てではない。戦争放棄を含む特殊な憲法を持ちながらも平和を享受し、資源がなくても技術の力によって栄えてきた日本は、多くの発展途上国と内戦で国土が荒廃した国のモデルとなり得るだろう。教育や経済の復興など、これからはPKOの文化的側面がクロ-ズアップされ、優れたノウハウを持つ我が国の人材は国土が荒廃した国々に歓迎されると思う。財政面で日本は大きな協力をしてきたが、将来技術、そして知識などの社会的資源の貢献がさらに期待される。第二次世界大戦後の廃墟の中から日本は世界第二位の経済力をつけ、安全保障理事会の常任理事国を推挙されるまでに復興した。現在の日本の世論は常任理事国になった場合、さらに軍事的支援を強制されるのではないかと懸念している向きがある。私はカンボジアに派遣された程度の兵力(工兵隊)のPKO参加は促進されるべきだが、どのような要請があったとしても、平和強制部隊として機能できるほどの重装備をした自衛隊を日本は海外に派遣するべきではないと思う。今まで日本の援助は金を出すだけだなどと批判されてきた。これからは難民を受け入れるなど、他の先進国との均一化も進めなければならない。しかし、日本の軍事大国化をアジアのみならずアメリカさえも危惧し、国連が平和強制部隊をなによりも必要としているのは思われないのにもかかわらず、日本が海外に重装備の自衛隊を無理に送ることはない。日本は非軍事国家の大国化という前人未到の道を歩み続けており、その道を外れることが国際社会のためになるとは私には思い難い。国際貢献を肝に命じると同時に、自らの立場と理念を国際社会に訴え、理解を求めていくことこそが、これからの日本が世界をリ-ドするための真の国連中心外交なのではないだろうか。終わりにガーリ国連事務総長はPKOに関する報告、「平和への課題」の中で予防外交、平和強制など国連がさらに大きな役割を担っていくべきであると述べた。私は彼の意見に基本的204