ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

この考え方は、異なった正義感を持って自分に立ち向かって来る者に対しては、自分の正義感を貫くために、銃を撃ち返すのもやむを得ないという判断に導きやすい。しかし、それでは二者は少しも歩み寄れないというのが、私たちの考え方だ。武器を互いに持っていなければ、死に直結する結果を見ずして、どんな話し合いも可能ではないか。仮に、銃を持たないがために、撃たれて死んでも、無抵抗で死んでいった意味を語っていくことは、相手に撃ち返したよりも大きな力を残すことになるかもしれない。歩み寄れる可能性は、銃を持たない社会にあるのではないか、という考え方だ。自衛以外の戦闘行為を認めない憲法を持ち、銃を持たずに治安を維持している日本は、この主張をするに最適の国だ。紛争を停める方法の一つは、武力と言葉で直接、紛争を起こしている部分に働きかけることだが、同時に、地域に暮らしている人々に社会的経済的安定感を与えることで、戦闘行為の不毛さ、平和という概念を認識させることにも大きな意味がある。この面で、カンボジアでの道路補修工事、モザンビークでの輸送調整業務同様に日本国内での自衛隊の活動は非常に参考になると思う。その他、医療行為、技術援助、食糧対策など、日本人に適した分野はたくさんある。現状はボランティア組織として活動している分野を、外務省のもとに機構化して国の機関として、より活動を生かす方向にもっていってほしい。軍隊派遣のように、内戦には干渉できないというような拘束も不必要だから、災害の被災地などにも即座に対応できるのではないか。日本はこの分野に徹する。人権の尊厳をうたい、戦わずしても理解し合える人間の可能性を信じる。具体的には政府人間の交渉と、より以上に人道的支援を活動目的とする。紛争地域であるから道を治していても危険はある。しかし武器は持たない。防衛の研究を重ねることで、死の危険を回避していくのみだ。国連平和維持軍の役割は、前述したように最大限、当事国の軍事施設破壊であり、それ以上の破壊行為は認めず、基本は国家警察的警護とする。この分野には、日本は日本の主張するところと相容れないということを鮮明にして、不参加を明言する。186