ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第10回佳作では、どこまでが防衛か。その判断は当事者にゆだねるしかない。そのためにも、国家間で判断に行き違いが出ないように、その時点での共通認識を作ることは不可欠だ。この判断の差で、国連平和維持軍内での対立が生じる可能性もあるのだから。最近では、カンボジアの国連平和維持活動が、PKFの活動も含めて、私の主張する形態に近かった。年月は要したが、和平交渉というテーブルをまず作っての地道な外交交渉の積み重ねが当事国以外の国も含めての合意を生んできたと思える。最終的に、国民の総選挙による議会作りという形にまで到ったのは、まさに国連でこそできた事業だ。戦闘以外の日常で、活動員に死者が出ている点については、事例を一つ一つ検討して、今後の活動に生かしていくしかない。くどいようだが、問題を根本的に解決できるのは武力ではない。武力は一時的に沈静化させることはできても根を残す。外交交渉で仮に壁にぶつかっても、武力ではその壁をやぶれない。過去の国連軍の歴史を振り返っても外交調停の成否が鍵を握っている。東西冷戦の終わった今、世界の紛争は中東などの歴史的対立、根強い民族間の不信が元になった地域紛争が主体になると思われるが、この場合、特に粘り強い調停に意味があるだろう。今後の国連平和維持活動では、軍事面よりも政治的交渉と非軍事面の人道的援助活動の役割が増大する。日本の進む方向も、予算人員両方共、非軍事面に限定して力を注いでいくべきだ。というのも、非軍事面にかかる費用、人員だけでも莫大な量だと思われるからだ。日本は日本の主張をし、日本の役割面を限定し、その限定した部分に多大な費用と努力を傾けていくべきではないか。○日本の平和維持活動では日本の主張とは何か、もう一度整理して述べてみる。アメリカの銃社会に対する日本人とアメリカ人の感覚には大きなズレがある。アメリカでは防禦として銃を撃つことを正当な行為としている(州により異なるかもしれないが)。185