ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「最近の国連平和維持活動についての評価、今後の平和維持活動のありかた、日本の果たすべき役割について」田中みつ子○人権意識の育成国連は世界の平和を維持することを目的として生まれた機関であり、自国の主権を維持すると共に、他国の主権も尊重するという基本理念がある。そして、民族、宗教にとらわれず、人権を擁護する立場にある。平和の維持と人権擁護は相反するものではないが、平和の維持を第一目的として進むときに、必ずしも、人権を完全に擁護できるとは限らない。大国による政治イデオロギー的対立の強かった時代は、国家理念の前に個人の人権が抑圧される現実があっても、紛争状態を収拾するという第一課題の前に、かき消されがちだった。このことは地域の民族紛争でも同様だ。紛争の場では、たしかに、まず仲裁せねばならないのだ。しかし、恒久的な平和維持の視点からすれば、紛争の収拾と同時に、その地域の人々の人権をうたい、生活や経済の安定をはかることは不可欠だ。これは決して二次的なことではなくて、生活・経済の安定があれば紛争の発生を抑制し得る効果があるという意味で、紛争の仲裁と同レベルで語られていいことだ。国連は完成した組織ではない。これまでも悪戦苦闘してきたし、今もいろいろな問題を抱えて変動している。言いかえれば、そこにかかわる人々の力で、どのようにも変わっていける未知の部分を持っている。私は、日本が、人権の尊重をうたって、東洋的な平和主義という志向を現在の国連により加味していってほしいと願っている。それにはまず、日本の中で、人権というものを学習していかなければならない。なんと180