ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

「最近の国連平和維持活動についての評価、今後の平和維持活動のありかた、日本の果たすべき役割について」田中みつ子要約昭和24年に生まれた私の世代は、民主主義という言葉が、子ども同志のほんの日常の会話にも顔を出すような戦後教育を受けてきた。なかでも、『日本国憲法第9条戦争放棄』という言葉を学んだ時、子ども心に、日本はまっとうな国なのだという安心感、信頼感のようなものを受けとめたことは忘れられない。現代日本人の多くが持っている平和思想は、なによりも人命尊重を第一と考える暴力否定の平和思想だ。自らの正義にもとづいて、悪の根を絶つためには戦うことも必要だ、平和を作り出すためには力を使うことも必要だ、という西洋思想的な考えを持つ人は少数派であろう。神の教えに逆らう人々は、ことごとく滅んでいくべきだとする聖書の場面ごとに、民族の違いというような違和感を持つ日本人は多いはずだからである。しかしながら、西洋人の平和構築の基盤が自己を律する善悪の正義のとらえ方にあるとするならば、日本人の平和思想の基盤には何があるのか、人命尊重とはどういうことか、と問われる時、多くの日本人は、それは命が一番大事だ、生きていてこそだ、殺すのはよくない、かわいそうだというような感情的な物言いで、しばしば通り抜けてしまうのではないだろうか。日本人もかつては正義をふりかざして刀を振るってきた。幕末の抗争は顕著な例だ。第二次世界大戦へ向かう時代も、大東亜共栄圏は正義の道の先にあった。しかし二次大戦はそれまで人々が信じていた正義を否定し、侵略、殺人という行為のみを残した。178