ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

ある。この場合UNDPは各国のODAの調整機関として残り、OECDとの協調のもと援助国・被援助国双方の意見調整や案件の発掘調査等、地球的規模での開発援助のためのコーディネーター的な役割を担っていくことが望まれる。もちろん各プロジェクトの評価等監視役としての機能も兼ね備えておくべきだろう。一方環境面においては、その分野における国連の中心的機関である国連環境計画(UNEP)が、ODAによるプロジェクトによって引き起こされる環境や生態系への影響をモニターし、適切な助言を行うという環境アセスメントを実施していけば、世界的に一定の基準のもとに開発が進められ、乱開発による自然破壊の減少につながるであろう。そしてODAの及ばない地域である公海、南極大陸、果ては大気の自然環境や生態系の保全、監視はもとより、森林伐採や砂漠化といった地球全体の自然環境に対して影響を及ぼす問題についても、UNEPが主導してその対策に当たっていかねばならない。5.将来への展望国連も複数の国、複数の民族の集合体であるので、各国、各民族、またある時には一個人のエゴさえ活動の表面に現れる。人間が運営している限り仕方のない事だと言ってしまえばそれまでだが、世界最大の国際組織としても誰もが認めているのに寂しい限りである。その様なエゴの最も噴出しやすい部分が開発援助であろう。途上国は少しでも多くの援助を獲得しようと努め、一方援助側に立つ国はその様な国際協力を通して政治的な影響力を及ぼそうと躍起になる。紛争を続ける国は大国の調停を内政干渉だといって蹴とばし、大国は人道支援の名のもとに軍を派遣し、“目には目を”的な報復攻撃まで辞さない。人間である以上欲があり、中立的な立場を取る事は難しいが、ある一定レベルの生活を営んでいる人間が、自分の生活の向上のためだけに同じ惑星に住む死に瀕する人々を切り捨てているのだ。国連はそういった人達にこそ光を当てていかなければならない。確かに開発援助は必要である。誰もがより良い生活を望み、苦もなく楽に暮らしていきたいと願う。しかし“より良い生活”というのは比較の問題であり、ひどい生活を送って176