ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第10回佳作の問題を無視する性急さが求められるので、国連の様な機関がまず第一に取り組むべき仕事であると考える。その次に必要となるのが生活の改善を目的とする開発援助であるが、これは国連が力を入れて取り組むよりは、先進諸国のODAに依存していった方が良いのではないだろうか。経済政策、貿易開発、及び開発援助(DAC)の3委員会を含むOECDの加盟国が、既に世界中で国際協力活動を展開しているので、それを国連が繰り返す必要はないと考える。開発援助のための技術は十分に先進諸国で研究・蓄積されており、それを生かした数々のプロジェクトが試行錯誤を繰り返しながらも進められてきた。我が国では国際協力事業団(JICA)がその役割を担っており、関係各省庁や民間企業との協力のもと、農林水産、インクラストラクチャー、鉱工業、医療、教育文化の多岐に渡る分野で、技術移転、機材供与、研修生受け入れ等の援助に取り組んでいる。有償資金協力やアンタイド援助の比率が大きい等、他先進国のODAと一線を画する部分はあるが、徐々にその成果を上げてきていると言える。開発援助に関しては、その国その地域に適した方法を取り入れ、きめ細かな配慮が必要となってくるので、個々のケース(プロジェクト)で柔軟に対応していかなければならない。それゆえ対多国という援助よりは、対一国という形態の協力が主体となるべきであり、国連が行うよりも先進国による二国間援助の方が、より柔軟できめ細かな対応が可能であろう。この点においても、国連以上に各国によるODAの方が一層効果的な開発協力を行える可能性を秘めている。国連では専門機関によって実施される技術協力計画のための資源調査、予備調査、投資前基礎調査、技術研修等を国連開発計画(UNDP)が行っているが、今後それらのプロジェクトを次第に各国ODAによるものへ置き換えていってはどうだろうか。国連による開発援助プログラムを縮小させ、ODAへ移行させる事により、国連は世界平和のためのより基本的な部分での問題解決に向けて、一層強力な取り組みを実行できる様になるだろう。それは繰り返し述べてきた様に、あらゆる人に生活を始められるだけの力を与えることで175