ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

2.国連が力を注ぐべき分野国連は組織的にかなり肥大化してしまった様だ。それは単に加盟国の増加のみによるのではなく、あまりにも多岐に渡る分野へ手を広げ続けてきた結果と思える。世界保健機構(WHO)や国際連合食糧農業機関(FAO)を初めとした附属機関も数多く、更にそれぞれの機関が世界各地に研究所等の施設を持ち、様々な活動を展開している。一方このところ、加盟国の分担金拠出遅延による予算不足の報道を、しばしば耳にするようになってきた。国連を際限なく膨大させてしまったつけが、ここにきて現れてきたのではないだろうか。加盟国が世界平和のためにと拡大してきた機能が、あまりに膨れ過ぎ、手に負えない程に巨大化して、とうとう糸の切れた風船の様になってしまったのだ。国連もどこかの政治家同様、質の向上につながるシェイプ・アップが必要な時期にあると考える。国連だからといって、必ずしもあらゆる分野について地球の発展のために貢献しようとする必要はない。国連はその設立目的である“国際社会の平和達成”をしっかり見据え、そのためにまず成されるべき問題に焦点を絞り、その解決に向けて全力投球していくべきだ。その問題というのは、前にも述べた通り不可抗力の死に追いやられる人々の救済であり、特に医療、食糧、そして紛争解決のためのPKOが最重要課題となろう。この3つは人間が生命を脅かされない環境を築き上げていくうえで、最低限必要な要素であり、平和な生活を実現するために欠くべからざる条件である。その条件を満たした上に成立する開発援助については、国連が積極的に取り組むというよりも、むしろ経済協力開発機構(OECD)諸国の行なう政府開発援助(ODA)にまかせて、無駄な重複を避けるべきであろう。人間が生活を営んでいくために必要なのは衣・食・住であると言われるが、平和実現のために国連が総ての地球人に生を保障する条件は、医・食・自由(PKOによる紛争解決)の3点にあると考える。i)医療現在、WHOを中心として種々の病気に対する研究、予防、コントロール活動が続けられている。特にマラリア、眠り病、フィラリア症、リーシュマニア症、住血吸虫病、癩病168