ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

第10回最優秀賞とりわけ、安全保障理事会における五常任理事国の特権的な力の行使には警戒的であった。国連の実行力への信頼性を取り戻すために、その神話を崩し、より現状にあった組織改革推進を望んでいる。経済大国である日独、また各地域の代表として承認された国を安保理常任理事国に加えることによって、文化的・地理的に多様な意見を取り込むことが可能になろう。このことを考えると、5大国安全保障理事国中心から国連総会重視にシフトすべきだ。大国のヘゲモニーに対して、中小国の立場や、多数の意思を尊重すべきだからである。あくまで大国主導の軍事秩序の枠でなく、代わって「法の支配」や国際社会のルールを確立させなければならない。危機管理に当って平和的な交渉で手腕を発揮できるよう、国連事務総長の権限を増大させることが必要だ。また、国際システムの一環として国際司法裁判の機能を強めながら、国家犯罪を含めた国際法違反を罰する権限を持つ新たな国際刑事裁判所を創設する必要がある。地域と国連のありかた「二重構造」の安全保障国連組織の「官僚化」が進み、また既に著しく大きな財政問題を抱えている。これまでの集団的安全保障は国家間の武力紛争には有効であったが、内乱の抑制、解決という点では十分ではない。それはボスニア問題の解決に、CSCE(全欧安保協力会議)が成功していないことからもわかる。それ故、国連は地域の当事国に権限と責任を下ろしてゆく必要がある。一歩すすめて、「二重構造」の地域安全体制を提案したい。私は地域紛争を未然に防ぐために、南北の経済格差による分断化や政治経済の「過渡期」にあるソ連、中国、ミャンマー、北朝鮮、ベトナムなどの孤立化の回避で新秩序には地域内の相互の勢力牽制、軍拡競争の抑制、武器輸出入の管理、一国の軍事的暴走防止、文化や学術等の分野へ多岐にわたるために、国連が長期的なおかつ効果的な各地域(Region)と地区(Sub-Region)の協力体制、というワンセットの安全保障体制づくりへの助けることを期待する。例えばアジア太平洋(Region)の安保理と東アジア、東南アジア、南西アジア等(Sub-Region)111