ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

を契機に、国際情勢は流動化多極化し再編成に向かった。しかし、湾岸戦争からカンボジアでの国連のPKO活動を見る限り米国主導から国連主導に大きく代わりつつある。「ワラにもすがろうとする」と例えられてきた国連への各国の見方が変わってきた。21世紀には国連を中心に集団安保体制に期待をかけている。また、グローバルな政策決定の過程に参加せざるを得ないからである。ここでまず言っておきたいのは、私は本論の展開についてできるだけ現実とかけ離れた提案を避けたいことである。また、これから未知のことを語るので、物事を複眼的に観察することが大切で、現状の決まりに執着したくない。その方が何にも束縛されずに自由に創造的な思索をすることができるからだ。現状を見極めて先を読み取り、なおかつ先見の明のある発想をしなければならない。その上、本論はいま起きている地域紛争を世界史の上でどう位置づけるかという問題の核心に大胆に切り込んだ挑戦的なアプローチである。湾岸危機後、アジアの兵器輸入急増は世界の新しい火薬庫としての浮上で懸念されている。実は、兵器輸入金額は1982年の16%から1991年の34%に倍増した1。高度成長で高額の買物をしたアジアの軍備増強が進むにつれて、国際情勢の緊張緩和との逆説的な現象が起きている。即ち、国内治安対策型から戦略防衛型に変化し、いわゆる陸軍中心の近代化から海軍及び空軍装備強化に力を入れている。国連組織の改革さて、冷戦後も国際紛争解決に当たることのできる唯一の機関として、国連に一層の期待が高まっている。ソ連崩壊で超大国の「代理戦争」がなくなった一方、民族対立の「地域紛争」が急増しているので、国連も今までと違った対応に迫られている。「指令塔なき」新秩序の安全保障は、“地域的”集団体制になるであろう。国連をより中立でなおかつ信頼できる組織に変えていかなければならない。多くの国に参加してもらうためには、加盟国の意をより汲み上げ、反映するような民主化が必要である。これまでは「大国主導」の国連というイメージが強かった。中小国は大国が国連機構を乱用することを恐れてきた。1101朝日新聞、1992年12月8日。