ブックタイトル佐藤栄作論文集9~16

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概要

佐藤栄作論文集9~16

しかしそれで世界に通じるだろうか。平和共存の世界を作り上げるには、残念乍らきれい事だけでは済まされない。火の粉をかぶり、汚れた仕事にも手をつけ、それこそ汗と涙と油にまみれて克ち取る事が出来るものと思う。それを平和憲法を楯に取り、自分だけが手を汚さずに世界の仲間入りをしようとするのは、井戸の中の蛙的思考である。平和を実現する為には国連に軍備が必要であり、日本だけがお金で済ませたり、橋をかけたり、道路を修理しただけで、役割分担を完了する事は不可能の筈である。若し諸外国が、日本はお金だけでいいですよと言う様な事があれば(その様な事はあり得ないと思うが)、エコノミックアニマルの評価しか受けていない屈辱的事態であると判断すべきである。扨て、国連の理念や役割が世界の調和と発展にある限り、最大の課題は、人口問題、食糧問題、環境問題である。此等の問題に関しての調和や解決がない限り、世界は他の凡てがうまくいっても共倒れの危機を有する。人口問題を抱えているのは更生力のない国から滅亡し、世界はそれなりに淘汰される事になるが、実際には、飢えたる人々は隣国に流れ、或いは一挙に富める国に流れて行く。既に難民は各国に流出し、万里を巨てた日本にも、ベトナムその他から漂着している。即ち、世界の人口問題や食糧問題は、その深刻さの増大より早く、世界が一挙に米騒動の修羅場になる事を予見している。雲仙普賢岳の火砕流の如く、予知予見を上廻る早さで、災害はやって来ると知るべきである。この問題の難しさは、人口の爆発的増加を来たしている後進国に、自力更生能力のない事である。彼等は貧乏なるが故に、極言すれば、これ以外にする事がない故にせっせと子供を作って行く。そして益々貧乏になり、飢えに苦しみ、世界の何処かからか供給されるパンやミルクを頼りにする。多くの人が餓死してゆくが、それを上廻って子供を作る。日本でも昔から貧乏人の子沢山という。人口問題の恐ろしさは、今でも世界の食糧は十分とは言えないのに、今後五十数年で百億人に倍増するという。これでは、先進国がいくら頑張っても追っ付かないのは自明の理であり、今や、人口問題は今直ちに強力な対策を講じないと手遅れになる絶対のピンチに立っている。世界的な超強力な調整機能が必要であり、国連の役割の最大の物である所以である。国別に見ると、後進国の問題である事は先述したが、先進国に98