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概要

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ることは、単に生活の質に影響を与えるだけでなく、各国の経済活動をも直接的に規定していくことになり、その実行は難しい。さらに、全世界レベルでの合意について考えると、すでにある程度の生活レベルを達成し、人口の増加も少なく、社会が成熟状態に向かっている先進諸国と、人口の爆発的増加の中で、これから経済の発展を目指していく必要のある発展途上国とでは、状況はまったく異なる。これまで先進諸国に資源を供給し続け、その経済成長を支えてきたという、地域感情を考慮にいれると、その調整は不可能に近い。このような状況の下で、その解決を目指すためには、単に省エネ型の機器や、石油代替エネルギーの開発を行うという、対象療法的な解決の方法だけでは不充分である。我々の生活や物の生産のシステムを、自然界の中のものの循環プロセスの一つとして捉え、それぞれの段階での物やエネルギーの在り方と、その副次的な影響までを考慮して行くような、新しい物作りの仕組みを考え、文明の質の転換をはかっていく必要がある。このような対応の必要は、自然界に対してのものだけではなく、我々の社会や生活-の対応についても同様である。一つの社会システムや道具が、世の中に出現するということは、その文化や生活スタイルなど、多くの面に直接間接の影響を及ぼすことになる。これに対する事前のアセスメントや、社会への適応度を高めたものにする作業を行わないまま社会に出すと、作られた物はその利便性によって社会に普及はするが、生活全体は披行したものになり、摩擦やストレスの多い、幸福感の少ない社会になってしまう。工業製品の廃棄物の山と、環境の悪化に追い詰められた今日の社会を見ると、現代文明は、すでにその状況に陥っていると考えられる。このような状況を改善し、地球に優しい豊かな文明を造り上げるためには、自然-の配慮と共に、生活や文化、人の感性などに対する適応性についても、考慮にいれられるような、科学的手法や手段の開発も行っていく必要がある。992