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概要

satoh

は、歴史や民族の影響を受けながら自らのアイデンティティを確立・維持するために、如何に個人が自分の感情と意思に基づいて主体的に行動し歴史を形成していったかを理解することができる。だが、上述のような指導的立場にあった一部の人間について分析するだけで、歴史や民族、あるいは紛争というものに介入できるであろうか。少なくともエリクソンはそう考えて分析を行なったのではない。彼は歴史的に意義があり自分が関心のある個人史の事例から、資料が豊富で事案を共有Lやすいものを選んだに過ぎない.紛争や報復が個人や民族の感情や意思に由来し、その感情や意思はアイデンティティの確立や危機に直面することから生起すると考えてきたが、それでは、具体的にどうその事態に介入していくことができるであろうか。初めは責任の重い立場にいる人間からかもしれないが、その背景にいる無数の普通の人達も含めて、数多くの人々に働きかけ、理解する方法があるのだろうか。その介入の方法の可能性について、次章で検討する事とする。第三葺人種・宗教的対立における個人の変容の可能性IRogers.C.氏.の事例-ここでまた新聞の記事を引用することにする。少し長くなるが、1990年6月20目付の朝日新聞夕刊の特派員メモからである。それは、奇妙とも言える光景だった。南アフリカ共和国の・白人元兵士が、黒人開放組織「アフリカ民族会議」(ANC)の老黒人女性活動家の手をぎゅっと握って言った。「次は南アフリカで会いましょう」。女性は答えた。「ええ、もちろん」。 =ANCと南ア退役軍人らとの話し合いの最終日。総括討論を終え、両代表団は会場内のカフェで別れを惜しんでいた。元兵士は、たぶん・ANCは共産主義の悪魔と972