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概要

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では、紛争や報復の連鎖を引き起こLている否定的な感情に、具体的に介入する方法はあるのだろうか。13)-18)その示唆を与えたのがロジャースのエンカウンター・グループである。彼は対立する人種間(アングロストとチカーノス)や宗教間(ベルファストにおけるカトリックとプロテスタント)で話合いのグループを持ち、参加者やその周辺の人々の意識はそこで確実に変容した。参加者たちは対立するグループ-の認知や態度を変え、和解のための努力に取組みだした。また中米の政治家や経済人を集めたワークショップでは、共同宣言を出すことに成功している。このようなエンカウンター・グループの技法は、臨床心理学の方法とも合致し、アイデンティティ危機に伴う感情的混乱に根ざす国際紛争に対して、有効な介入手段ともなり得ると思われる。しかし、その理論と技法には荒削りのところがあり、国際紛争-の介入の手段とするには、まず国連大学においてリーダーの訓練を行ない、対立が激しくない異文化間状況でグループを実施して、その成果を蓄積することが必要である。その際に、国際政治学や国際関係論の専門家の助力が必要であろう。その上で国連大学の呼び掛けによる世界平和賢人会議を開き、そこを出発点として国際紛争場面にリーダーを派遣していくことができるだろうOこれが世界平和のための臨床心理学からの提言である.9占2