ブックタイトルsatoh

ページ
963/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている963ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

「臨床心理学による世界平和-」第8回優秀賞要岩秀幸要約人種や民族など、様々な原因に端を発する紛争は世界各地で後を絶たない.一方南アの人種差別政策の撤廃など、和解と歩み寄りを示す動きもみられる。そのような国際情勢に対して、紛争や対立などが、個人や民族の持つどのような感情に根ざし、それがどのようにしたら変わりうるのかを探究・実践するのが臨床心理学による国際間題へのアプローチである。朝日新聞の記事にみられるように、国際紛争においては必ずといってよいほど「報復の連銀」がみられるOこの連鎖をたどると遥か歴史を遡ることになり、国際紛争の根底にある感情的対立は、歴史的必然であるようにみえてくる。しかし、一つ一つの行動を具現化するのは個人の主休性にかかっており、紛争の連鎖は決して歴史的必然ではなく、個々人の感情に追うところが大きいと臨床心理学では考える。そこで、そのような感情を生み出す背景を心理学的に考えてみると、アイデンティティの危機というものが考えられる。人間は自分白身の存在意識(アイデンティティ)を追求し確立しようとする生き物である。それが妨げられると困難な状況に陥り易く、他者の力を借りないとそこから脱しにくい。また人間は自分の所属する集団のアイデンティティも追求する。民族もそうやって形成され、歴史は個人や民族のアイデンティティ形成のプロセスと考えられる。この観点から紛争の連鎖を考えると連鎖を生み出す否定的な感情はアイデンティティ(自己存在)の危機から生み出されたものとして分析される。9占1