ブックタイトルsatoh

ページ
96/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている96ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

えよう。このような意味で、開発教育は同時に国際理解と協調のための教育である。とりわけ、平和の維持に役立っている諸機関とその精神を記した憲章や条文の正しい理解は、開発教育のワク粗の中で促進されねばならないだろう。何故なら、平和な時にはそのような組織は、人々にはむしろ財政的負担か、大いなる無駄のように映り、官僚主義的弊害ばかりが目につくものである。それら国際組織の「設立の父たち」の苦労や高い理想は理解するのにたいへんな努力を要するのが、いわば世の常というものであろう。しかし、その「設立の父たち」が世界に訴え続けた価値観を絶えず現代社会にも注入し続けないと、平和のための国際観織を人類の遺産として後世に伝えてゆくことを諦めねばならなくなる。この点における開発教育の果たすべき役割はきわめて重大であると言わざるを得ない。ここで明確になったことは、開発教育は平和にも密接につながりをもっている、開発教育を通して新たな平和教育の可能性も見えてきた、ということであろうoまた、開発教育は国際的な経済関係において何らかのインパクトを持つものであろう。途上国側の再三の要求にもかかわらず、先進工業国諸国の市境は途上国からの産品に対してまだまだ閉鎖的である。その理由は簡単で、低賃金国から入ってくるコストの安い製品から自国(先進国)の、すでに比較優位を失った、衰退しつつある産業とそこに雇用されている人々を保護するためである。しかし、経済学で言うプロダクト・サイクル理論が示すように、技術さえ移転すれば、その産業に関しては、比較優位はいずれコストのより安い,低賃金国-移ってゆくのである.生産国である途上国において極度の経済的搾取が行われていない限り、世界資源の適正配分の観点から言っても、保護障壁を除去して、市場を開放した方が利があるのだ。むろん、より先進的な国々も、その国内での産業調整を行って、雇用の再編成をしなくてほならないので、そのために一定の時間を必要とするだろう。この言わば「時間かせぎ」のために、GATT (関税と貿易に関する一般協定)においてはセーフガード条項やエスケープ・クローズが認められているのである。ただ、これらの方策はあくまでも一時的なものであるべきで、恒常的に用いるべきものではないことに留意しなければならない。94