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概要

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る人類存亡の危機を回避できるならば、人類は確かに賢人類であろう0図2に賢人類計画のソフト面すなわち種々の危機間における複合・連鎖を調査するためのニューラルネットワークを示す.ニューラルネットワークは脳細胞のシナプス結合間に(20)おける信号伝達を摸して構築された新情報処理技法である。ニューラルネットワークでは、種々の要因が複合・連鎖している本論文のようなシステム系において、要素間(それぞれの危機に相当)の影響の程度つまり結びつきの度合いを定量的に把握することが可能となり、この影響度に基づいて特定の要素が変化したときの他の要素の変化量を検出でき、さらにシステム系全体の最適条件をも決定することができる。加えて、ニューラルネットワークは過去の蓄積データから自律的にシナプス結合における影響の度合いを変化さ(21)せる機能いわゆる学習機能を有しており、この学習機能によりシステム系の変化に対する予測の確度を飛躍的に向上させることができる。このような特性を有するニューラルネットワーク手法を図2に示す危機マップに適用した場合を想定してみよう.地球環境問題の要素マップに示すように危機内部の単一の問題間にも網の目のようにネットを作成することによって、例えば、地球温暖化に対する大気汚染、砂漠化、森林破壊などの他の諸問題との複合・連鎖の程度を検出することが可能となり、さらに、危機間の関連つまり地球環境問題と紛争・戦争、食料不足、疾病などとの関連を定量的に計測することができる。具体例として、C0 2の排出量をある基準まで削減した場合に、地球環境に与える正の影響とともに、工業化の遅滞に伴う開発途上国の経済悪化の程度、経済悪化による累積債務の増加率、それによる輸入食料不足の状況、さらに、これらのことから引き起こされる飢餓の深刻度ならびに疾病率の増加率など、地球環境保全におけるC0 2の削減がその他の危機-及ぼす影響を定量的に把握することができる。このように、複合・連鎖する危機における問題の複雑性を手巴握Lないで、単一の危機管理を行うことは人類全体から見た場合、かえって状況を悪化させることもありえるものと思われる。すなわち、グローバルな見地からの適切な施策を遂行するためには危機の全体954