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概要

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第1回佳作上国の貧困に「身をさらす」exposeすることが求められているのかも知れない。その意味ではすでに西欧の国々で行われてきた開発教育は今でもその価値を大いに有していると思われる。従来、スウェーデンなどで実施されてきた開発教育は先進国の子供たちに第三世界の窮状を知らせ、先進国と途上国の関係について教えることにそのねらいがあった。相互依存的関係がかつてより以上に緊密になった今日、先進国の人々は、単に途上国の苦悩を聞いて知っているというだけではなく、直接的に、間接的に、途上国が抱える様々な問題や、人々の人格的尊厳に実は関与しているという意識をもつよう要請されているのではないか、と私には思われるOそこで、たとえばひとつの方法として、先進国の大学でもそのカリキュラムの中により充実した形で、途上国に関する講義やセミナーを、学生の専攻科目とは別のワク組で用意してはどうか。つまり、日本の場合で言うと,いわゆる「一般教養科目」のひとつとして、開発教育の立場から途上国の諸問題を取り扱うのである.途上国の貧困はひとつの冷厳な事実である。そして、それは途上国にとってのみ現実ではなく、人類全体にとっての現実である。フレーレが言うように、具休的な現実との関わりを通して全人格的な成長が可能になるとすれば、現代人に求められていることはやはり、何らかの形で、途上国の貧困に関わろうとする意識ではないかと思われるのである。そのためのひとつの効果的な方法は、開発教育を学校教育のプログラムの中に積極的に組み入れてゆくことではないだろうか。第四章、開発教育の国際的展望今まで論述してきた開発教育は、当然のことながら、開発と低開発の問題は全ての国民、全ての人間に関係しているのだという考え方を包含するものであるo従って、そこから開発教育がある一国,又は、ある特定の地方の発展に仕えるものではなく,全地球的なビジョンを提示するものであることは推察するに難しくない。いわゆる地球社会教育GlobalEducationと呼ばれるものになるのであろう。国際社会の相互依存性が一段と高まった今日、グローバルな視野と理解を持つことは現代人に最も求められていることだと言93