ブックタイトルsatoh

ページ
907/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている907ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

第7回佳作計5440億ト?ルある。という指摘によりつつ、アメリカの国民総生産のほぼ半分が社会福祉とは無関係な、いわば社会的空費としての部分を形成していることを示しているのは、国民経済の空洞化を伴う経済成長の無意味さを強調しようとした。」 (新田健三「21世紀型成長と経済学の課題一産業社会の論理を超えるもの」『エコノミスト』'83・1・4号)とある。この調査も現時点で数字上の正確さとは別としても、国民経済の空洞化の数字は現在ではもっと多額に上るであろう。あえて長い引用を試みたのは、地球上の資源がいかに有効に使用されていないかを認識することにより、余裕のある国や富裕層がその気になれば、ミニマム保障の原資の捻出も可能であることを強調したかったからである。いずれにしても、各地域、各国家に相応しいシビル・ミニマムを策定し、これを保障し、貧しい国々の自立を促すことにより、それらの国々が国内では経済自立が進み、国家間では対等な関係を樹立する方向へ進み、いわゆる世界の民主主義化、人権擁護-の道を歩みはじめるとき、ガルドラング氏のいう平和-の進路が開かれるのである.しかし以上のことは、「言うのは易く行うは難い」ことは言うまでもなかろう。いかに17世紀以来の近代主権国家システムが変容しつつ地球上に春の兆し(ポスト冷戦下の緊張緩和)が見えはじめたとはいえ、急に寒がえりすること(湾岸危機の発生など)もあるように、いまなお常に国家間の対立、国内の利害関係を巽にする各階層の対立、しかもそれをより深刻に、より複雑にしている人種、宗教の問題を思えば、その困難性はいくら強調してもLすぎることはない現状である。これらの背景をふまえつつ考えてみると、現在重要なことは、国際社会で最も中立的な国際機関によって、それぞれのミニマムの基準を策定することから着手することであろう。目下、その担当機関として私は、国連大学にこれを期待したい。もちろん、すべてを大学に委せるのではなく、最近最貧国発展途上国の貧困分析に大きい関心を寄せている世界銀行・ILO・FAOなどの協力も肝要であるが、中心となるのは905