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概要

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第7回佳作な(、世界中の人間一人一人でなければならないからである.その意味で、新しい国際秩序を支える価値観は、人種・国籍・職業・性別にかかわりなく、すべての人間の基本的な欲求を満たし、その最低生活を保障することを、国際秩序の目ぎすべき目標として設定すI-++*JIL+J+IIIfIII++る必要がある。このような価値観に基づいて、国連などにおいて提案されているミニマム●●●●●●■●●■・ヒューマン.ニーズ(人間にとっての最低の要求水準)や、日本においても議論されているシビル・ミニマムの設定によって、国際体系全体が、どのような形の財や情報の配分を実現しなければならないかを規定するべきである。」(『国際政治を見る眼』岩波新書、P.213-4、'77年、傍点は筆者)引用が少し長くなったのは、この主張こそ本論の主要眼目であるからである。特に、最後の国際体系全体の形成こそ当面、国連のあり方を方向づけるものであり、具体的にその手がかりを探るうえで活動することが国連大学の役割であることは、以下順をおって明らかにしていきたい。まず順序として、シビル・ミニマムの考察から始める。地球的シビル・ミニマム論は、'70年代頃より活発に論じ始められた。例えば'76年、東京で開催された「新しい繁栄を求めて」をテーマにした国際シンポジウム(日本経済新聞社主催)において議長をつとめた大束佐武郎氏が「南北問題は国内の所得と同じ次元でとり上げるべきだ」との観点から「先進国は経済的に相当豊かになったのでゼロ成長も良いが、発展途上国はまだまだ貧しいのだから、貧しい国にとって成長は依然として必要であり、重要だ」と、地球的規模での分配の公平という問題を提起して地球的シビル・ミニマムの構想を唱え注目を浴びた。また、経済協力開発機構(OECD)は、「人間の基本的要求にマッチした経済援助の必要」を唱え、国際労働機関(ILO)の世界食糧会議では、「西暦二千年に向けて貧しい人びとの基本的必要をどう保障していくか」が論議された。あるいは、7ルゼンテンのバリローチエ財団が『新しい社会の創造』(1976年)において、「人間一人一人が基本的ニーズを満たすような世界を想定」したことなどのさまざまな主張はすべてさきの武者小路教授の路線と軌を一にしている。さらにその背後には、さきの901