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概要

satoh

私は旧来の通常の現実主義的な平和主義からみた場合、最も示唆的な転換と思われるものとして、オスロに国際平和研究所を創設したノルウェーの社会学者で平和研究の指導的推進者として有名なヨ-ン・ガルドゥング氏の平和の再定義化の努力を高く評価したい.氏の提唱については、再び前出の武者小路教授の言葉を借用すると、「従来の平和研究の対象だった行動的な暴力、つまり戦争と並んで、むしろ開発をめぐって起こる南北問題の底辺にある構造的な暴力を平和研究者は忘れてはならない。」「つまり、単に世界の戦争防止に努力するだけではなく、戦争のきっかけとなる、あるいは人間生活を脅かす低開発性や貧困、更にその原因となる社会的な不正義や不平等といった社会構造、特に国際的な構造のゆがみから生ずる間接的な暴力、目に見えない暴力などが捉起されるようになった。」(同教授『地球時代の国際感覚』'80年、TBSブリタニカ、P.113)つまり、平和のためには不正義、不平等という社会構造のゆがみの是正、差当り国際間●■■(国内的にも同じ問題はある)の極端な経済格差の是正が優先課題となる。まして地球上で、数億を数える人々がいまなお飢えと貧困に苦しんでいることは、最も無視できない問題である。これらの点をふまえたうえで具体的なものに目を転じるとき、注目したいのは、まず1942年イギリスの「べヴァリッジ報告」で提起されたナショナル・ミニマム保障論であり、さらに今日では、これを地球全域におよぽすことが普通、「地球的シビル・ミニマム」(以下単にシビル・ミニマムという)とよばれるもの-と発展してきた。もっともその内容については例によって議論が多(、私がここで明確に定義づけることよりも、またまた武者小路教授のど登場を願うことにする。「新しい国際秩序が、中心と周辺の格差をなくした公正な秩序であり、平等な資格で世界のすべての人間の参加する秩序であるべきだとするならば、西欧国家体系のように国益という国家中心の価値を基盤とする代わりに、なんらかの形で人間一人一人を大切にする価値を基盤とすべきである。すなわち、公正とか平等とか参加を保証されなければならないのは、自らの内部に中心と周辺をもち,国民の中に不公正と不平等を許す主権国家では900