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概要

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第7回優秀賞心に構成された『紛争と平和の世界的文脈』(全三巻、武者小路公秀・浦野起央監訳)は、非常に新鮮だった。こうした、第三世界の研究者の著作がもっと身近に読めるようになることを期待している。総括として言えることは、極めて抽象的にならざるを得ないが、「グローバリズム・普遍性・統合・同質性」と「エスニック(土着性) ・多様性・分化・異質性」とを対置せざるをえないからには、その両方の力をどう調整していくかというテーマに取り組む必要があるということである。環境問題をはじめとする今日の「グローバリズム」重視に連なるケネス・ポールディングの「宇宙船地球号」という視点に早くから注目する一方で、地域の特異性、多様性の視点を重視した研究手法をとってきた国連大学には、このテーマに挑戦する基盤がある。同時に、統合が「国家」を外側-と突き崩す力であり、分化が「国家」を内側-と突き崩す力であるという点で、いずれもウエストフアリア条約以来の西欧的国家システムを変容させる力である。そうした意味で、国家の参加を前提に考えられてきた国際連合に参加する主体の問題について、新しい考え方を導入するための研究も急がれねばならない。置かれた立場、文化、地域によって異なる多様な視点をバランスよく結集L、全ての国家の、いや全ての人間の利益となる政策形成に指針を与えるという大きな課題に、今後とも国連大学が挑戦することを祈らずにはいられない。887