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概要

satoh

第7回優秀賞「鉄のカーテンは消え去ったかもしれないが、世界は依然として貧困のカーテンで分割されている」と述べたが、国連の取り組む課題は「東西問題」から「南北問題」に移行したのである。そのとき、五大国対中小国という構図とともに、先進国対発展途上国という構図-の洞察が重視されねばならない。近年ソ連が人道主義、民主主義などの点で西側先進国と価値観を共有しようとつとめていること自体悪いことではないが、これは欧米先進国の価値観が、世界に広がることを示している。五大国を監視できる立場にある日本が,いたずらに常任理事国入りを果たすならば、南のパーセプションに「先進国一枚岩」を植え付けることになりかねない.国連内での米ソ協調の傾向が高まりつつあった一九八八年、すでにポール・テイラーは南に対する北側先進国の共同戦線に発展する危険性を指摘した(注15)が、国連内の先進国と発展途上国との緊張を横和し、発展途上国の開発を促進するためには、発展途上国の穏健さ以上に先進国の寛容さが求められているのである。国連大学の役割国連がこのように解決の極めて難しい多くの問題に取り組まねばならないとき、「学者・研究者の国際的共同体」である国連大学の果たす役割は極めて大きい。本稿においては、大国の国連重視の一面として、大国の支配というネガティブな側面を強調してきたが、米ソ双方に「人類的課題の解決に国際的な協力をもってあたる」というグローバリズムの芽が出てきたことは大きな希望を与えてくれる。南北問題や環境問題の解決が、このグローバリズムの視点から力強く推し進められねばならないとき、国連大学の研究成果は、幅広い人類の支持を固められる有効で公正な具体的指針を与えることが出来る。国連大学の一九八二一八七年にかけての第一次中期展望において推進された研究には、すでに大きな成果が生まれている。(注15)Pa1Taylor,"ThefinancingoftheUnited Nation/'Review oH nterlationalStudies,γol.14,No.4 (1988),p.290. 883