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概要

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第7回優秀賞根絶せしめたあげく、無政府主義に結局堕してしまう」(カント)ことのないよう、五大国協調による国連機能の拡大を望ましい方向に誘導していくことこそに力を入れなければならないO今後の国連の発展のために為しうる対処は、親第三世界的なグローバリズムの推進という点での大国の役割に期待しつつも、一方的リーダーシップに陥らないよう大国の自制を求めること、そして安保理の強化に対して一国一票の原則が保証されている総会の機能を強化することに集約されよう。それこそが、国連憲章にある「基本的人権と・大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認」することにもなろう。米国は、一国一票の原則によって第三世界諸国があらゆる決議をすることを「多数の横暴」として批判し、加重票決制を唱えるが、一国一票の原則は、大国支配を抑止する最大の武器なのであるOこの原則は今後とも尊重しなければならないのではなかろうか.国連の平和維持機能の強化が重要であることは言をまたないが、五大国主導の安保理の機能以外に国連の果たせる役割が大きいことも確かである。紛争の原因除去のための国連機能ここで今一度今日の世界における紛争、戦争の原因を考えてみる必要がある。東南アジア、アフリカ、ラテン・アメリカなどいずれの地域を見ても、紛争の火種となる原因を突き詰めていくと飢餓、貧困、経済格差といった経済・社会問題に行き着くケースが極めて多い。私は、米軍基地問題の取材のため昨年もフィリピンを訪れたが、政情不安が体制選択やイデオロギー対立の間蓮である前に、貧困の問題であることを改めて感じさせられた。東西対立型、大国介入型の紛争が終息に向かいつつある今日、紛争の中心は民族対立型、宗教対立型、体制選択型などに移りつつある。飢餓、貧困、経済低迷などに苦しむ国がそうした紛争の舞台となることが多いのは決して偶然ではないのである。881