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概要

satoh

ある巨大なスラムの中でのことだった0-日みてかなり貧しい暮らしを強いられていることが推測できたわけだが、なんと驚いたことに一生懸命にツメにマニキュアを塗っている少女たちに随所であった。それはアメリカ製のものであったが、やはりその化粧品会社の宣伝はテレビやその他のマス・コミを通じて効果的に、幻想でしかない「豊かな暮らし」、「愛に満ちた人生」を繰り返し繰り返し人々に訴えていた.化粧品に限らず、民間放送から流れてくるCMの殆どはおよそ一般大衆とは縁もゆかりもないようなところをその舞台としており、見ていてある種の空しさがこみあげてくるのを禁じ得なかったoこのような形で、本来もっと根本的なところ-向けられなければならない僅かの所得が見せかけの豊かさの代償となることにより、実際には、ある食糧問題専門家が指摘するように「商業注6)社会性栄養不良症」(コヤーシオジェニック・マルニュートリーション)なる事態が途上国において深刻化Lているのである。前述の例でもふれたメキシコでは、「子供たちがタンパク質の不足でやせ細っているというのに、やっと育てたなけなしのニワトリやタマゴを売って父親が飲むコークを買う家族が決して珍しくない、と田舎で働く医者たちが報告注7)している」のだそうだ。どうやら一個人に消費者としての自覚を持たせるだけでは結局のところ発展にも開発にもつながらないということがはっきりとしてきたようだ。問題なのは途上国の人々に対して、前述のような観念の支配、つまり生き方を決定する価値の管理が確立されつつあるということである。他人により規定され、管理された価値に基いて生きるのではなく、自らの自発的な価値観を形成することが今や是非とも必要なこととなってきていると言えようoここにおいて、開発のための教育を補完する形でもうひとつの開発教育が個人の意識化のプロセスとして要請されてくるのである。次にこのDEVELOp -MENT EDUCATIONについて論及することにする。第二章、意識化としての開発教育開発教育についての定義はすでにいくつか試みられている.そのうち代表的なものをひとつあげてみよう。「開発教育は人間、社会、社会改革に関するものである。それは個人8占注6)ibid.PP.235江7)ibid.PP.235