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概要

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第7回優秀賞保障・包括的な国際協力を重視していることを示している.これらの理念にプロパガンダや建前の側面がなければ、それは今後の国連の健全な機能強化にとって大きな光であるoLかし、ゴルバチョフの外交が国益重視の「現実主義」と評価されていることも忘れてはならない。安保理による大国主導の平和維持機能の強化に野心を見せる姿がちらつくとき、「大国協調の権力政治肯定」というもう一人のゴルバチョフを想像しないではいられない。国連理念の起源だからこそ、国連創設の父たち、すなわち英、米、ソの指導者たちの相克と、大国と中小国とのぎりぎりの妥協という過程を経て、国連が創設されたことを改めて問題にしなければならないのである.ルーズヴェルトは恒久平和を保障する国際警察力の理想主義と大国協調を達成するために英国、ソ連の言い分を飲むという現実主義を同時に追求したといわれる。これに対して、国務長官コ-デル・-ルは、ウイルソン的理想主義の立場から国連創設に努力した。ノ、ルは、戦後平和機構には大国だけでなく.国力等による一切の制限を設けないで、できるだけ多くの国を参加させるべきことを強調した。もちろん徹底した反植民地主義の立場をノ、ルは貫こうとした。ハルは、「平和の保障には政治・経済の実質的条件の保証が必要である」との認識を深めていた。特に、政治的条件は、民族自決主義を促進し、各国民が自国の将来は自らの意思で選択できる能力とその機会を育成・創出することであると考えた(注7)0一方、チャーチルはまず大国の責務を重視し、国際機構では大国の特別の権利が認められるべきだとの立場に立っていた。また、英国の利益擁護の立場から国連の反植民地主義の立場に抵抗を示した。スターリンも英米ソを中心とする大国のリーダーシップを重視し、すべての問題に対して大国の拒否権が適用されるべきだと主張した。特に、スターリ(注7)永井陽之助『冷戦の起源』(中央公論社、一九七八年)、八九頁。 877