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概要

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第7回優秀賞昨年一〇月にも、米ソ外相は「変わりつつある世界での平和と安定の責任」と題する国連機能強化を呼び掛ける共同声明を発表している。米ソ国連重視の本質ただ、単に米ソの国連重視といっても、例えば総会重視なのか安保理重視なのかによって大きな違いがある。国連重視の背景こそ適確にとらえねばならない。重視すべきは、国連重視を支える米ソの外交政策理念である。国連創設以来の米国の国連政策を明石康氏は次のように時期区分している(庄6)0「一九四五一四七年大国協調の夢さめやらぬ時期一九四八一五五年一九五六一六三年ソ連との「冷戦」を闘う場としての時期アジア、アフリカ諸国中心の国連を積極的に支持した時期一九六四一七三年国連に対する評価が低下していった時期一九七四一現在(一九七六年)強大化していく「第三世界」対策に苦慮した時期」。カーター政権以降も、第三世界の勢力拡大に対する苦悩という基本構図は続いているが、カーター大統領は国連大使に黒人のアンドリュー・ヤングを任命、この時期には第三世界諸国が米国の立場を支持することが増えた。つまり、米国の国連政策は国際関係と歴代大統領の外交理念を反映して目まぐるしく変転してきたとも言える。米国の近年の国連重視-の転換にもかかわらず、なお米国の国連政策の動向に注意を払わねばならないのは、プッシュ政権の外交政策自体が未だ明確でないからである。ポスト冷戦の米国外交が定まるまでには当然移行期の政策にありがちな、矛盾するいくつかの側面が同時に出る複雑さを伴うことは避けられない。依然として、九〇年の時点においても、ユネスコ復帰の拒否、FAOからの脱退の示唆などに見られるように、レーガン政権初期の国連政策の名残が見られた。依然、米国には「親イスラエル、親南アフリカ」の立場をとる、いわゆるシオニスト勢力が存在する。そ(注6)明石康「国際連合とアメリカ」本間長世『総合研究ア}リ力7アメリカと世界』(研究社、一九七六年)、一二四-一四一頁O 875