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概要

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第7回優秀賞冷戦の開始による米ソの拒否権行使の応酬をはじめとする激しい対立によって、設立後まもなく機能不全に陥り、長く実質的機能を奪われていた安全保障理事会(以下、安保理と表記)が晴れて機能を回復する。これまで、国連機能の強化こそを願ってきた者にとって、これほど喜ばしいことはあるまいO米ソがこれまで国際平和撹乱の元凶だった対立と軍事介入をやめ、地域紛争解決に積極的に取り組んでくれる。おまけに、人権や環境問題にも対処してくれるOこんな素晴らしいことはない。大国-の警戒感を解き、極めて楽観的立場に立つなら、国連の機能の強化とそれのもたらす国際社会-の貢献に胸をふくらませ、われわれは素直に大国の役割拡大を待っていればいい。ただ、実際にはそれほど楽観的になれない理由がある.本稿では、米ソを中心とする大国(-安保理常任理事国)の国連政策、国連創立期の大国の構想分析を通して、「国連機能拡大」の負の側面に焦点を当て、今後の国連の在り方を考え、それにそった国連大学の役割を考察する。大国の国連重視と国連内協調への転換イラクのクウェート侵攻後、国連の平和維持機能は一挙に脚光を浴びることになったが、米ソの国連重視の姿勢とそれに伴う国連の平和維持機能の回復は、すでに八〇年代後半からのデタントの進行と軌を一にして進んだ.イラン・イラク戦争、カンボジア問題、アフガニスタン間嵩、ナミビア問題の解決などにおいて、近年国連は重要な役割を果たしてきたのであるoこれらの多くは国連での米ソ協調に負うところが確かに大きい。すでにソ連はゴルバチョフ政権誕生に伴い、いわゆる「新思考」外交を展開し、国連政策にもそれが反映されてきた。一九八七年九月一七日付の『プラウダ』は、「世界の現実と安全保障」と題するゴルバチョフの論文を掲載し、対国連政策の転換を明確に示した。国連事務総長の役割拡大、国際司法裁判所の機能強化、国連平和維持活動の活用、国際人権基準の国内法-の適用-など一連の国連強化政策構想を発表したのである。873