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概要

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「国連における大国協調の光と影」坪内隆彦はじめにソ連・東欧の改革、ドイツの統一、東西融和の進展。間違いなく、一九八〇年代末からの国際政治の地殻変動は、戦後最大の国際秩序の転換を意味している。東西冷戦の終結は確かに喜ぶべきことだが、「ポスト冷戦」の国際秩序がどう構築されるのか、またどう構築されるべきか、明らかではないo/少なくとも、冷戦の終結が人類に平和な時代を保障しないことは、すでにイラクのクウェート侵攻が教えている.いつの時代にも国際秩序の変革には、正と負、光と影の両面が付きまとうことを忘れてはならない。冷戦の終結が国連機能の拡大をもたらすという指摘はすでに、昨年あたりからあちこちで聞かれるようになっている。『ニューヨークタイムズ』も国連が「四五年間の歴史で初めて機能しはじめた」と書いた。ただ、国連機能の拡大にも正と負の二つの側面があるといってよい。永井陽之助氏は、「ポスト冷戦期の国際政治の特徴は、冷戦時代に凍結されていた民族的、宗教的ナショナリズムが一挙に解凍し、地域紛争が多発する『遠心的現象』と、米ソが共同でこうした地域紛争を押さえ込もうとする『求心的現象』が混在していることにあります」と述べた上で、「重要なのは、米ソが人権や地球環境、国際テロ、麻薬などへの共同対処を大義名分とする『グローバル・コンセンサス』を結び、その協力の舞台として、国連を積極的に活用していることです」と指摘する(注1)。872性1)『朝日新聞』一九九〇年八月一八日。