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概要

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第1回往4)人にも及ぶという。世界人権宣言(1948年)の第26条には基本的人権として「何人も、教佳作育を受ける権利を有する」と明記してあるわけで、この権利の保障と実現を一日もはやく実現しなければならないだろう。この意味で、教育の問題は途上国にとって急を要する必要(urgentneeds)のひとつであると言える。更に学校教育を補完するものとして職業上の専門訓練などの教育的重要性を認めるものであるが、ここではその詳細に入ることは控えることにする。ここでむしろ問題にしたいのは、開発のための手段として教育を捉えることが果たして本当に正しいのか、ということである。開発のための教育Educalion ForDevelopmentの考え方が根本的に途上国の社会にとって必要であることは認めるが、果たしてそれで終って良いのかという疑問がどうしても出てくる。ここで先程のキンドルバーガー教授の消費価値consumptionvalueのことに話を戻そうO同教授の主張は正しい理論であると忠うが、現実に目をやれば、途上国の人々の消費パターンが「自らの消費価値に基いて」でもなければ、「自らの将来における生産性を向上せしめつつ」でもなく決定されていることに気付かざるを得ない。特に多国籍企業がその強大な資金力にものを言わせて行う宣伝活動は多くの途上国において本来の消費パターンを歪曲していると思われる。言わば多国籍企業による観念の支配と呼ばれるもので、つまり人々の生き方を決定する価値の管理とも呼ばれ得るかもしれないO多くの途上国において殆どの人々はせいぜい義務教育の最低年限をやっと済ますかどうかという状況にいるが、学校とのつき合いはごく僅かの時期でも、テレビやラジオとのつき合いは一生のものであるO従って、多国籍企業の流す宣伝の電波は、たとえ文盲の人にでも見事に「豊かな暮らし」を伝達してしまう。「地球企業の脅威」の筆者たちはある貧しいメキシコの村で靴もはかない文盲の農夫に出会った時、こ注5)のことを実感したと言う。何故なら、この農夫がある国際的に名が通っている会社のクラッカーの箱をロバの背に積んでいたからだそうだ.この種のことは私自身もこの夏フイiJピンで体験した。借越ながら私の見たことを述べさせて頂くとすれば、それは私が訪れた注4)1)参照注5)"GLOBALREACH"-THE POWER OFTHE MULTINATIONALCORPORATIONS-「地球企業の脅威」ダイヤモンド・タイム社刊.PP.219 85