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概要

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「国連における大国協調の光と影」第7回優秀賞坪内陸産要約冷戦の開始によって、国連の機能は長く実質的機能を阻害されていたが、冷戦の終結によって、国連での米ソ協調、国連機能の回復が明らかになりつつある。のみならず米ソには、国連を通して人権や環境間韻にも積極的に取り組もうとの姿勢が出てきているOこれは喜ぶべきことだが、「匡l連機能拡大」の負の側面にも注意を怠ってはならない。国連重視を支える米ソの外交政策理念こそ重視しなければならないのである。一言で言えば、米ソとも人類共通の課題に取り組もうとするグローバリズムと大国協調、国益重視の現実主義という二面性が見られる。さかのぼれば、ウイルソン的理想主義・反植民地主義・主権平等の原則と権力政治肯定の現実主義・大国主義との相克と大国・中小国の妥協を経て、国連は創設された。つまり、米ソ協調による国連機能の強化には「大国の支配」、「大国の専制」という危険がつきまとう。理屈の上でもそれは証明されるし、すでにその兆候もある。今後の国連の発展のために為しうる対処は、親第三世界を明確にしたグローバリズム推進という点での大国の役割を期待しつつも、大国の自制を求めることと、総会の機能を強化することである。というものの、紛争勃発後の対処でなく紛争の原因除去のための国連機能としては、むしろ国連における大国に期待できることは多くない。南に対する北側先進国の共同戦線に発展する危険性も指摘されるほど,南北問題の解決は楽観できない状況にある。867