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概要

satoh

際社会に新たな不安定要因をつくり出してしまうこともあり得よう。人権問題をも含めた民主化を志向する国際的関心は今後さらに高まっていくであろう.また民主主義という志向生はトランス・イデオロジカルなものであり、世界に共通な目標になりうるものである。しかし、それが確実に共有されるためには、一国の公的部門の代表である政府に相当する国際機構が、より大きな役割を果たせるように変わっていかなければならない。マルチラテラリズムの危機が指摘されて久しいが、21世紀において国連システムを主導すべき理念は、グローバリズムとナショナリズムとの融合であろう。来世紀においても、世界政府が成立することはほとんど考えられず、主権国家を単位とした国際関係が中L、となる。その意味で、各国の国益の追求は、依然として国際関係の基調を形成するであろう。しかし、同時に、相互依存関係が深まりゆく世界において、国家レベルでの解決がきわめて困難な問題が多くなっていくことであろう.全体として、ナショナル・インタレストとグローバル・インタレストの双方に考慮をはらう必要があり、もし両者間に矛盾が生じた場合にはグローバル・インタレストを優先させるというしくみが必要である。これからの国連システムには、こうした観点からのビジョンとイニシァテイブが求められる。具体的には次のような役割が期待されると思われる。第2章国連システムの果たすべき役割マルチラテラリズムの危機といわれるものの意味は、人々の持つイデオロギーによって異なるものであるが、多くの批判は、国際機関から得られると期待する特定の便益の大小を論じているもので、マルチ体制の理念それ自体-の失望をあらわしているわけではない。一般に、マルチ体制の理想型に期待されてきた役割としては次の3つが考えられてきた。第1としては、アナーキー下の国際協調という役割で、フリーライディングを批判するためのモニタリング及び制裁のための装置である。第2は、--シュマンによるボイス854