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概要

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ドがきわめて速いことである.いまひとつは、事象の変化が、複合的、重層的であることである。すなわち、ひとつの変化が終わりきらないうちに、他の変化が発生し、それらが組み合わさって、きわめて複雑な様相を呈しているのである。このような、カオスともいうべき状況を生み出している世界的規模での変化は、何も、国際政治のような社会事象に限定されたものではない。気候の変動というような自然事象にも世界的な規模での変化が見られる。これらの変化は、いずれも人類の生存基盤そのものに影響を及ぼすものである。国連及び国連大学の役割を考えるにあたっては上記のようなきわめて広い視野で現在のグローバルな変化を見すえつつ、マルチラテラリズムの責務と課題、そして具体的な方策をさぐっていく必要がある。そのために90年代から21世紀までを見通した上で、今後の国連の主導すべき理念からまず考えておきたい。第1章21世紀への課題と国際機構米ソを中心とする東西関係は、かつては期待できなかったほどの信頼と協調を確保している。それは、文字どおり、戦後の国際政治の構造を変える性格のものといえる。その意味では、たしかに、かつて存在したような意味での東西冷戦は終結に向かいつつあるOそれは大きな変化である。しかし、同時に、現在の国際政治には次のような連続性も存在しており、それらが深刻な不安定要因として横たわっていることに注意する必要がある.第1に、米ソは互いに相手国を壊滅しうる核戦力を、依然として保持しており、両国とも核の近代化計画を放棄してはいないということである。第2に、ヨーロッパの緊張緩和は、ドイツの統一によってひとつの完結をみたが、他の地域、とりわけ、アジアにおいては緊張緩和がおくれているということである。第3に、地球環境間蓮、麻薬問題、国際テロ問題、難民問題などのような地球的規模の諸問題に対して、国際的な取り組みが必要とされていることである。852