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概要

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第7回優秀賞停工作が実ったのである。 8月には、米艦によって民間機を撃墜されたイランが国連に提訴、恩わくがはずれて支持を得られなかったことから、ついに折れ、国連決議598(即時停戦命令)を受諾し、国連に調停をゆだねた。その結果、 8年間にわたって世界経済に大きなインパクトを与え、石油の安定を脅かし続けてきたイラン・イラク戦争も武力では解決がつかず、国連主宰の和平交渉で解決が図られることになった。そのほか、アンゴラ、西サ-ラ、キプロスなどでも国連の調停による和平交渉の進展が伝えられた。アジアでもベトナムがカンボジアから撤兵するゼスチャーをみせたのを受け、 7月下旬にはジャカルタでカンボジア紛争の当事者、関係者が一堂に会したカクテルパーティー方式の交渉が始まった。中米ニカラグアでも停戦交渉が続けられた。ともかく,この1988年ほど、全世界に150はあるとされる大小さまざまな地域紛争に一斉に話し合いによる解決機運が盛り上がったことは例がない。それにともない国連の平和維持活動が見直され、前年まで言われていた国連離れや国連の無力化、といった懸念がまるで杷憂だったかのように、国連の活躍が目立った。そして、秋の国連通常総会が開幕して間もなく、ノーベル平和賞に国連平和維持軍が選ばれた。こうした一連の和平の動きを促した背景には、1987年のワシントンでの米ソ首脳会談でのINF全廃条約調印、さらには1988年春の、レーガン米大統領の訪ソに象徴される東西デタントの新たな大きい流れがあった。このように、最近では、ポスト冷戦の調停役として国連の動きが注目されるようになっているoLかし、アフリカのエチオピアやスーダンのように、泥沼化した内戦と周期的に襲ってくる早ばつでおびただしい数の餓死者や難民が出ているところでは、単に紛争がやむだけでは、事態は解決しない。国連を中心とした各国からの復興援助が必要である。したがって、国連システムについては、その経済・社会活動を含めたマルチラテラリズムそのものを問う必要がある。その意味では、今日、国連に対しては期待が非常に高まっている反面、改革・発展を必要としてもいるのである。ひるがえって、最近の世界情勢の変貌には2つの特徴がある。ひとつは、変化のスピー851