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概要

satoh

いはずである。Lたがって私は、国連大学が従来の国連の活動の枠組みやスタイルを微妙にずらして、新しい試みをすることは十分可能だと思うし、またそうするべきだと思うのである。五、真に国難な問題に取り組むこと数年前に世界中で反核運動が盛り上がったことがあった。「ザ・デイ・アフター」という映画が作られたり、様々な「反核」コンサートが開かれたり、「人間の輪」に何万人もの人が参加したりして運動はかつてない広がりを見せたように思う。しかし、運動はその後衰退した。そして、この間、米ソの努力によって欧州における中距離ミサイル全廃などの成果はあったものの、冷戦が終結した今も世界には人類を何回も全滅させられるだけの核兵器が存在している.何よりも、核兵器が近い将来劇的に削減される可能性はほとんどない。私は、今までの反核運動は核兵器という問題の本質に迫ったことは一度もないと思う。核の保有を支える社会的要因の除去は、考えれば考える性ど困難な問題である。産軍複合体という利益団体の持つ影響力の大きさ、核を保有し続けるという慣性の根強さ、国家の国際社会におけるパワーの源泉としての核兵器保有の政治的な意味、そして、何よりも、人類が一度発見してしまった科学技術の利用を完全に封じこめることの難しさ・- ・。こういった様々な社会的要因によって核の保有は何重にも保障されており、核兵器を全廃することははっきり言って不可能であろう。「人間にとって、決して完全には実現できないとわかっていながらなお、高まいな目標を設定して、そのために一生懸命努力するのは容易なことではない」0冒頭に引用した、合衆国の前国務長官のジョージ・シュルツ氏の言葉を再び掲げるO人類は、いかに困難であるとわかっていても、やはり核兵器廃絶のための努力を続けざるを得ない。802