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概要

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ネスコからは脱退するという強硬手段に出たほか、国連に対する滞納金は1990年7月現在約五億ドルにも上っているという状況である。冷戦の終結を機にして、合衆国は国連の国際機構としての価値を少しは見直したように見える。具体的には、イラクのクウェート侵攻に対する対抗手段として、合衆国は国連の境をフルに活用している.しかし、これも東西対立の下、拒否権による不離に陥っていた安全保障理事会が一転して合衆国の思いのままに動くようになったからであり、合衆国の議会を始めとする統治者の国連に対する冷淡な視線は余り変わっていないように思われる。合衆国の国連批判が全ては当たっていないことはもちろんである.ユネスコが合衆国に反対する勢力によって支配されているという批判などは、単なる超大国のエゴと思われても仕方がないだろう。しかし、一方で、国連の諸組織が十全に機能しているという状態から程遠いことも確かであろう。活力ある組織は、それを構成する個人がある程度独立に活動し、その創意がいかされる環境を必要とする。今の国連の諸機関、とりわけより政治的で、重要な問題を扱う機関において、このような環境があるだろうか。「あの草創の日々のはつらつとして熱気に満ちた状態を取り戻すのは至難の業である。・平和のために尽くすことは、かなえられた夢であった。I-=官僚主義、挫折、惰性、空しい美辞麗句、政治的狭量および幻滅感は、まだ将来のことであった」。国連創設当時から国連事務局に勤務したプライ7ン・7-カート卿の述懐であるo私は、国連が今日抱えている問題の本質の少なくとも一部分は、逆説的に聞こえるが国連が「国家」からなる組織であるということにあると思う。構成員が個人としては存在せず、単なる国の代表に過ぎない組織と言うのは、どこか重要な点で、不自然なのではないだろうか。しかし、だからといって合衆国の一部に見られるような「国連は維持するに値しない」という意見には私は賛成できない。私は、今後の世界的問題解決の担い手として、国連に798