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概要

satoh

的な新技術(ブレイクスルー)を開発していくことを私は希望したい。第三は、概念上のブレイクスルーとでも言うべきものである。問題を記述する新しい概念を兄いだすことは、私たちが問題にアプローチする枠組みを変え.現状固定の悪循環から抜けだすのに役立つ.例えば、国連の「環境と開発に関する世界委員会」が打ち出した「持続的開発」という概念は、いまや第三世界の開発と環境保護の関係を考える上でのキーワードとなっているO問題に関わる諸要素を十分に検討し、いわば熟慮の結果が結晶のように凝縮された言葉は、それ自体が思いもよらないようなインパクトを持つ。その言葉が兄いだされたために、問題の検討に新しL,道が兄いだきれて、革新的なアイデアが堰を切ったようにあふれ出してくるということは、実際あるものである。このような現象は、まさに概念上のブレイクスルーというにふさわしいだろう。概念上のブレイクスルーこそ、国際的な学術機関としての国連大学に最もふさわしい課題であると私は考える。そして、そのような考え方の上の新機軸を今すぐにも必要としている問題は多く存在するのである。例えば、前にも述べた自国の天然資源に対する開発の権利と、環境保護という人類共通の利益の問の衝突をうまく解消するような概念はまだ生み出されていないOその結果、「内政干渉」という言葉が環境保護を求める諸国の態度を及び腰忙し、また環境保護を求められる側の態度を必要以上に硬化させている。そのようなディレンマの下で無為無策が続けられているうちに、貴重な自然環境は急速に破壊されているのである。この場合に、「開発の権利」と「環境保護」を調和させるような考え方の「新技術」が開発されることの意義は誰の目にも明らかであろう。もちろん、現実を記述する新しい概念が生み出されたとしても、それ自体では問題を解決することはできない。より具体的な方策は、個々のケースによって異なる詳細な検討の下に生み埋されなければならない。また立案した計画を実行する上では多くの現実的困難79占