ブックタイトルsatoh

ページ
796/1034

このページは satoh の電子ブックに掲載されている796ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

satoh

-クを持つ国連大学には、上のような社会的なブレイクスルーを生み出す能力が十分にあると私は考える。第二は、社会工学的な新技術とでも言うべきものである。発展途上国の貧困はなかなか改善に向かわない。80年代には、発展途上国と先進国の間の格差は縮まるどころかむしろ拡大したと言われているO-部の人々は、このような発展途上国の停滞を自然環境や社会的伝統のせいにしようとしているが、このような態度は全く間違っていると言わなければならない.問題の本質はこのような国々の生活を改善する為の社会的技術がいまだ機能していないことである。実際、本当に必要なのは、途上国の社会の活力をオーガナイズする新たな組織法、活動の枠組みが与えられることである。あるいは、発展の妨げとなっている(それ自体はほんの些細な)障害を取り除くことである。そのような社会運営上の新技術(ブレイクスルー)が実施されれば、「宿命的に貧しい」と思われがちの発展途上国も、爆発的な発展を遂げる可能性は十分あると私は考えるのである。例えば、アフリカにおける伝染性の疾病の発生率の高さは貧困の結果なのであって、原因ではない。先進国の人々は例えばアフリカにおける50歳弱という平均年齢を劇的に改善することはできない、という固定的イメージを持っているoLかし、実際にはアフリカにおける低い平均年齢は多くは異常に高い幼児死亡率のためであって、 5歳まで生き延びた人の平均寿命は先進国と大差ないのである。一方、幼児死亡率は、ORT (経口補水療法、その費用は一回あたり数セントである)等の簡易な療法の普及により劇的に下げることができると考えられているDしたがって、アフリカにおいて平均年齢を先進国並に上げることは十分可能なのである。問題は、ORTのような技術の開発だけではなく、その知識、用具を普及させ実施率を高める社会的活動の「パッケージ」を作り、実行することであるOそのためには創造的な社会的「新技術」の開発が必要となる。794