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概要

satoh

私は、国連大学がこれからの国際社会ではたし得る役割として、次の三つのキーワードで表される提案をしたい。すなわち、「有権的な事実の摘示」、「ブレイクスルー」、そして「超『国連』的活動」である。二、 「有権的な事実の摘示」1989年の東欧の「革命」やソ連の「ペレストロイカ」は人々に「確固として動かないように見える世界秩序も、動かすことはできる」という実感を持たせたように思う。それと同時に、第二次世界大戦後ほぼ半世紀にわたって続いた東西冷戦の下で醸成された無力感や虚無感は一掃された。私たちは、「現存の世界秩序は人間がつくったものであり、人間の意志によって変えることができる」という当たり前の事実に再び目覚めたのである。しかし、東西冷戦が終わったからと言って、地球上の全ての問題が解決されたわけではない。ある意味では東西冷戦よりもやっかいで、解決が困難な課題が山積している。実際、東西冷戦が終結すると同時に、旧秩序の下で未解決のまま一時凍結されていたさまざまな問題が、パンドラの箱を開けたように飛び出しつつある。ソ連の民族問題や、イラクのクウェート侵攻などがすぐに頑に浮かぶだろう。このような国際紛争の「種」は至るところでみられるし、これからも絶えることはないだろうO現在見かけ上鎮静化しているように見える紛争も、実はきわめて危うい一時的安定状態にあるに過ぎないことが多い。国際紛争はまた、まさに国連大学憲章の第-条にあげられた研究プログラムの課題「文化、言語および社会体制を異にする人びとの共存」に属する問題でもある。国連大学がこのような高度に政治的な問題を扱うことには様々な困難が伴うと考えられる。しかし、これらの問題を学際的に研究すること、特にマスコミや先進国の研究機関によっては代表されにくい少数派や発展途上国の意見を十分に反映することこそ、国連の一機関Lとての国連大学に求められていることではないだろうか。788