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概要

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第7回最優秀賞「国連大学に期待すること」茂木健一郎、始めに「人間にとって、決して完全には実現できないとわかっていながらなお、高まいな目標を設定して、そのために一生懸命努力するのは容易なことではない」0合衆国の前国務長官のジョージ・シュルツ氏の言葉である。今日、世界が直面している課題を考えるとき、この言葉は心ある人にとって重く響くであろう。さまざまな問題についての理想主義に基づく熱意ある処方等が、現実の複雑さと問題の頁の原因の認識不足によって破綻している。その結果、資本主義と社会主義の対立に代わって、新たなイデオロギー対立が生じつつあるように見える。すなわち、現実主義と理想主義の対立である。「熱帯雨林を無傷のまま残したい」という理想と、「人々の生活のために焼き畑農業や新木の採集は必要である」という現実の板挟みになって、政策立案者は苦LんでいるD環境の問題だけではなく、第三世界の貧困、軍備の縮小、エネルギー問題、人口問題、政治の民主化など、理想と現実をつなぐ有効な処方等がなく、いわば袋小路に入っている問題は多い。国連大学は1969年、これらの複雑な地球の諸問題に取り組む「東に国際的な大学」として当時の国連事務総長ウ・タント氏によって提唱された。国連機関としては初めて日本に本部が置かれ、研究活動、研修活動、知識の普及を三本柱に活動を続けている。この小論は、最近の急激な世界秩序の変貌をふまえて、国連の一機関としての国連大学に期待したいことを私なりにまとめてみたものである。787