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概要

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第6回佳作た。こうして「南北問題」を浮かび上がらせることになった「南」の側の異議申し立ては、たんに「北」の先進諸国が享有する富の再配分を要求するにとどまるものではなく、富の偏在をもたらしてきた従来の世界経済システムの変革の要求と結びついていた。そこには、これまでの体制に内蔵されていた強者の論理-の批判があり、参加と平等を志向し、新しい秩序を求める強い意思が含まれている。その意味でも「南北問題」は、今後の国際社会の方向と在り方を左右し、新しい国際秩序の形成に大きな意味を持つことになるだろう。一方、先進国における民主主義の進展は、恵まれない人たちに政策決定-参加する道を開き、福祉社会へ移行する道をたどってきたが、それが一国内にとどまらず、世界的な規模まで延長されてきたことは望ましいことであった。しかし国内では政策立案、調整する政府があるが、国際社会ではそれに代わるような、よりどころになる強い国際機構がないいま、「国連大学」には少くともこれをバックアップする役割が期待されるoそして、北からの開発援助や、新しい経済秩序を模索するうえでも、まず「南」自身の自力更生の自助努力が必要であるし、また新しい秩序を生み出すためにも、「南」からの積極的なアプローチなしには望めないことを思えば、「国連大学」が南の出身である国連の故ウ・タント事務総長によって設立の提案がなされたことは示唆に富む。そして二代目学長が同じく南のインドネシア出身であるスジャトモコ博士によって担われていることの意義が、重く感じられるのである。「国連大学」が、山積する詰問蓮のなかからまずとりあげた課題が、「世界の飢餓問題」「人間と社会の開発」「天然資源の利用と管理」という三つのプログラムであった。これらは当面最も急を要する諌笹であり、しかもいずれも、第三世界の直面している問題の解決に、深くかかわる課題であることはいうまでもない。そしてこのことは、「南北問題」が今後の国際社会の最も基本的な、しかも最も重要な課題であることの認識にもと773