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概要

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第6回佳作デクエヤル国連事務総長が、「世界は新たな国際的無秩序に近づいている」という懸念を表明したのは一九八二年のことである。同年九月、第三十七回国連通常総会を前に発表された年次報告の中で、デクエヤル事務総長は、「国際危機が続発するなかで、国連は、憲章にえがかれたような効果的で決定的な役割を演じることができなかった」と指摘し、数々の国際紛争が、国連の多数の加盟国の意思に反Lて、武力によって処理されている事実をあげ、さらに特定国を名指しすることは避けながら、米ソ両超大国の行動を間接的に批判して、上の懸念を表明し、警告を発したのである。このように、国際社会が矛盾と対立、摩擦と抗争をくり返してやまないなかにあって、さらに国連そのものが、この対立の場となって、その機能が十分に発揮されないことも多いなかにあって、国連機構のなかでも自主独立の立場にある「国連大学」の役割は、これまでにも増して大きいと言わねばならない。言うまでもなく「国連大学」はその名の通り、国連の一機関である。一九七二年の国連総会で、その設立と、本部が日本に置かれることが決議され、一九七四年に東京の帝国ホテル内に仮事務所を開設、そして東京都渋谷区の東邦生命ビルの一郭に本部を移して、本格的な活動を開始したのは、翌一九七五年である。国連には、総会や安全保障理事会など六つの主要機関の性かに、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連貿易一般協定(GATT)、国連貿易開発会議(UNCTAD)、国連軍縮委員会など、さまざまの専門機関や関連機関があるにもかかわらず、それらに加えて、「国連大学」という、まったく新しい組織(機関・機構)を創出・設立したということには、大きな動機と深い理由があったはずだ。その最大のものは、混沌とした国際社会のなかにあって、国連本来の目的を達成するための諸課題を研究する、専門の研究機関を必要としたからであることはもとよりであるが、同時にそれは、国連加盟諸国の力関係や、個々の利害に左右されない立場が保障され769