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概要

satoh

注8)っている数少ない国家のうちのひとつであると定義されているoLたがって、ともすれば現在の日本の経済的・技術的実績をふまえた貢献に目が向けられがちである。勿論そのような貢献は前章までの流れから言っても、日本としてなし得る重要な貢献であり、本章に於いても取り扱うが、もうひとつ、文化的・歴史的背景とそこから生まれてくる特徴をふまえた貢献についても見落とすことはできないであろうOこれは日本に限ることではないが、各地域の特徴がさまざまな意味で地球全体の発展のために生かされるという姿は、ひとつの理想であろう。そこでまず、日本の文化的特徴の中で、前章までに述べたような国連大学、地球全体の発展に結びつくものを抽出し、その特徴を生かした具休的貢献の在り方について論じていきたい。最初に、文化を取り入れるという点に関して、日本は世界でも稀な単一民族・単一国家を古くから形成していたという事実の他に、歴史的に著しい特徴があった。歴史を紐解くと、往々にして文化は一方からもう一万-の紛争、侵略による強制的伝達が多かった。つまり、文化は侵略と同時にもたらされるものであり、島国であるイギリスも、何回も異民族の侵入を許しているoところが、日本-の文化伝達経路である玄海灘は、異民族の侵入を許すほど穏やかでなく、しかも文化の伝達を拒否し去るほど荒れ狂ってもいなかったの注9)である。したがって日本は、それを意識するしないに関わらず、平和樫に異文化を我が物として同化していく機会を与えられてきたのである。このことは、現在の、特に開発途上国にとっては参考になり得ると思われる。先進国の文化的影響は、開発途上国の自主的な判断によって阻噂されるべきだからである。日本はこのような観点から総合的に日本の文化受容の流れを積極的に研究し、国連大学を通じてその成果を開発途上国に生かしてもらうべく努力することが望まれよう。また、近代化ということを考えると、西洋における近代化を促した科学技術体系は、それと不即不離の西洋的価値体系が存在していた。つまり、一見ユニヴァーサルに見える近代化も、その先陣となった西洋においては、西洋に根ざした哲学に支えられ、同時に拘束注10)されてきたと言わざるを得ないのである。その点日本は非常に特異な位置にあると言うこ往8)ダニエル・ベル、内田忠夫他訳、1975『脱工業会社の到来・上下』注9)鈴木孝夫、1975『閉ざされた言語日本語の世界』新潮社738注10)村上陽一郎、1979、『新しい科学論』講談社ダイヤモンド社